旅人 2019 8 3

 今は、夏休みの最盛期でしょうか。
旅行場所として、どこがよいか悩む人もいるかもしれません。
そこで、私が薦めたい場所があります。
 越後湯沢で新幹線を降りて、
ふと、在来線のホームを見ると、
「超快速(Super Rapid Train)」の文字が気になります。
つまり、「快速」に「超」がついているのです。
 これは、誇大広告ではないかと思い、
ホームへ向かうと、「0番線」があるのです。
なんとなくミステリアスです。
 ミステリアスな「0番線」に降りてみると、
1両編成の電車がありました。
 思わず、「これが、超快速か」とびっくりしました。
しかし、列車には、やはり超快速の表示があります。
 上越線をのんびり走る。
「やはり、超快速は、誇大広告だった」と思っていると、
「ほくほく線」に入った途端、猛烈に飛ばすのです。
 体感速度は、先ほど乗っていた新幹線と同じくらいです。
実際には、時速100キロ程度かもしれません。
そのうえ、停車駅は、直江津まで途中で1駅のみという。
 山間部を走る電車は、たいてい、のろのろと走りますが、
この電車は、弾丸のように飛ばすのです。
初めて乗ると、電車がスピード違反をしているように思えます。
 実は、「ほくほく線」は、日本海近くの「犀潟(さいがた)」付近まで、
ほとんど直線で、ほとんどトンネルなので、
超快速は、弾丸のようにスピードが出せるのです。
 そんなところで頑張っても、
誰も褒めてくれないどころか、
誰も気づかないが、
それでも地道に頑張るというのが、日本人の特徴です。
 私は、そういう「ほくほく線」の超快速が好きになりました。
「ほくほく線のファンになろうか」と思っていたところ、
すでにファンクラブがありました。
 芸能人のファンクラブはわかりますが、
鉄道の路線のファンクラブがあるとは、驚きです。
 さて、その後、日本海を見ながら、柏崎駅を経由して、
長岡駅に着くと、この小旅行の別の目的があります。
 改札を出たところに、名産品売り場があって、
その奥に、新潟県の「地酒」が500円で試飲できるところがあるのです。
120種類の地酒(日本酒)から興味を引いた5種類の地酒を試飲できます。
 どれもこれも、透明感がある味で、
まるで喉が渇いていて、やっと美味しい水を飲んだという錯覚を感じます。
酒なのに、「名水」を感じるのです。
 これほど手間暇をかけていて、大量生産ができないとなると、
おそらく事業としては儲からないでしょうが、
たとえ儲からなくても地道に努力するというのが、日本人の特徴です。
 誰にも気づかれなくても、ひたすら銘酒を作り続ける。
50年作り続けても、100年作り続けても、
誰も銘酒に気づかなかったということもあるでしょう。
 雑誌やテレビで取り上げられると、有名になるでしょうが、
「私たちは、名酒ではなく、銘酒を作っている」という意気込みが感じられました。
 さて、本を読んでいると、
「世界には、目立つところは頑張って、
目立たないところは手抜きをする国がある」と書いてありました。
 そういう国は、ちょっとだけ波風が立つと大混乱になって、
狼狽してしまうのかもしれません。
 聖書には、こうあります。
「わたしの言葉を聞くだけで行わない者は皆、
砂の上に家を建てた愚かな人に似ている」
 イエスキリストは、名もない「市井の人」こそ愛したので、
私は、「誰も気づかない地味なことこそ頑張るべきである」と思っています。
 目立つ人は危険だと思っています。
目立つために無理に無理を重ねているので、
やがて砂上の楼閣のように崩壊する時が来るのです。
 誰も気づかない地味なことこそ頑張りなさい。
これが、イエスキリストの言葉であり、神の言葉でもあるのです。
世界は、地味で小さなことから成り立っているのです。





























































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